黄昏乙女×アムネジア 第10話 「喪失乙女」

いままでになくまじな話だった。日本人の原初的な怖さを表現した良い話だと思う。疫病、呪い、お告げ、生け贄、恐怖、怒り、これらをうまく描いている。貞一くんの視点が、幼い貞一くんが古い映画館で見ているという演出がおもしろい。単に夕子さんの視点で見ているだけの構図ではなく、おもしろい試みだと思う。これからどのように展開するのか、最終回に向けてたのしみです。

つづきから。貞一は夕子の生前の記憶を垣間見る。夕子の村には疫病が蔓延していた。夕子は妹の紫子(佐藤聡美)の忠言を聞かずに、村の子ども、アサ(平田真菜)の看病をする。アサはかぜでふせっているだけだった。夕子と紫子は、学校に村長たちが集まって密談をしているのを盗み聞く。村長たちは、神社のうえに学校をつくったたたりが疫病の原因だと断定し、子どもを生け贄にしようと考え、アカヒトのお告げを聞こうと提案する。アサが生け贄にされると取り乱した夕子は学校へ急ぐ。アサが夕子の名前を呼び、夕子は生け贄のために地下へ放り込まれる。足を骨折し、衰弱していく夕子は、アサを憎むようになる。アサを憎んでいるのは自分ではない、自分は誰かを憎んだりしない。ひとを憎む自分を切り離し、絶命する。二人の夕子が生まれる経緯を、貞一は見た。