『ラッキーチャンス! 2』

ラッキーチャンス!〈2〉 (電撃文庫)

ラッキーチャンス!〈2〉 (電撃文庫)

第一話。キチと抱き合っているところを二之宮良子に見られ、誤解を解くために、というか誤解もなにもスキンシップで抱き合っていただけなんだけど、とにかく良子にキチを妹として紹介することで丸く収まる話。

「マサト、わたし、お腹すいた……」p.16。なんという貧乏生活。

校長、胸毛がダンディーです。二之宮良子にはキチを妹だと紹介する。それでキチが主人公のことを「お兄ちゃん」と呼び始めるわけですね、わかります。しかしキチは「どこかうそ寒い気持ちで、そうか、自分は"妹"ということになったのか、と思っていた。」p.84、さみしそうなキチ。

雅人と二之宮良子が仲良くしているのを見て、今まで感じたことのない感情を味わうキチ。文章が切れ切れなんだけど、それが逆に、このキチの切ない気持ちをうまく表現している。

第二話。良子がお友達として街に遊びに行こうと雅人を誘ってくれた。しかし極度のブラコンである良子の兄・二之宮速彦はなんとしても二人の邪魔をしようとする、という話。

「"これはいい電信柱ですね?"」p.103。またか。

「これだけ妹さんから愛されている君だ。私とて同じ妹を深く愛する身。その意味はよ〜く分かる。きっと君は素晴らしいお兄ちゃんなのだろう。そして素晴らしいお兄ちゃんということは素晴らしい人間だと言うことだ! すまなかった。さあ、仲直りの握手だ!」
p.130

言っていることはいいことなんだけど、どう読んでも変態にしか見えないお兄ちゃん。その後すぐに、雅人に注射器で痺れ薬を注入するという外道ぶり。

仲が良い雅人と良子を見た二之宮速彦、「まともではない。」「壊れかけていた……。」p.159。笑える。

第三話。突然雅人たちの前に現れた少女は、嘘をつくことで力を発揮する「世界を誑かす理(トーカー・トーカー)」という能力の持ち主だった。彼女・天草沙代は特命霊的捜査官であり、キチの安全性の調査に来たという。いろいろあって、残念な胸の大きさを指摘された沙代は雅人と決闘をして叩きのめす。実は雅人は沙代を殺さないために手加減をしたのだが、それに怒った沙代はなおも雅人を叩きのめそうとする。それに怒り心頭なキチは"大凶"の力を発現する。

沙代のツンツンぶりに、ギャグがうまく合致していた感じです。キチが大凶になったシーンは鳥肌ものだった。