『えむえむっ! 5』

えむえむっ!5 (MF文庫J)

えむえむっ!5 (MF文庫J)

表紙はチア服を着た美緒さまとアントワネット十六世とタロ子。今回のカバー裏は美緒さま。

第一話、「こ、このクソ犬野郎っ!」と嵐子に罵られる太郎。しかし太郎は嵐子に罵られるような心当たりがなかった。マッサージが嵐子の突然の変化をいぶかしみ太郎を詰問する。美緒に聞いても嵐子の変化の理由はわからないらしい。何がしかの決意を胸に修行の旅に出る嵐子。その間、太郎はお姉ちゃんと妹プレイを楽しんだりしつつ。三日後、真のドS少女になって戻ってきた嵐子は美緒に加虐勝負を申し込む。

「――お兄ちゃんっ!」「お兄ちゃん、大好きだよぉ! 静香はね、太郎お兄ちゃんのことが世界で一番大好きなのっ! だから、お兄ちゃんの肉欲が命ずるままわたしの体をメチャクチャにして!」「お、お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん! ああああ、お兄ちゃんが血のつながった妹の肢体を舐め回すように凝視してくるよぉ……そ、そのイヤラシイ視線でわたしも興奮しちゃうの……あはぅ、くぅ……」p.48。お姉ちゃんに「お兄ちゃん」と呼ばれる幸せ。「なにを一人で盛り上がってやがる! おまえは本当に変態だな! というか……」「姉貴……お兄ちゃんってなんだよ? ついに頭がおかしくなったのか?」。どうみてもいつものお姉ちゃんです。「今の時代――姉萌えよりも妹萌えのほうが優勢だからだよっ!」。

「美緒と嵐子は砂戸太郎を加虐する。そして、先に砂戸太郎を悶えさせるほどのドM的悦楽を与えたほうが、その勝負の勝者だ」p.62、なんかいろんな意味で嫌だなこの勝負。p.81、ドSモノボケが始まって二時間後。というか二時間も罵られつづけたのかよ。太郎お父さん登場「あの川は絶対に渡っちゃダメだぞ、太郎」p.94、いつもの展開か。くだらない話だなあ。笑った。

第二話、美緒先生のSM授業の苛烈ぶりから記憶を失ってしまう太郎。周りのひとたちだけでなく、自分の名前も忘れてしまったらしい。「お風呂上がりはお姉ちゃんと全裸でエッチぃことをする……それが太郎ちゃんの日課でしょ?」「わ、わたしとタローは……恋人どうし、ダッタノデス……」『辰吉、大好きだ、愛してる』「これは間違いなく君だよ。女装した君だ」――「砂戸太郎という人間は……姉貴の姿を盗撮し、母親の下着を盗み、それだけでは満足できず二人と近親相姦的な肉体関係を結んで妊娠させ、ありあまった性欲によって恋人の結野さんをも妊娠させ、親友とはガチのBL関係になり、さらには女装趣味までたしなみ……そ、そして……」「そして……最後のトドメはマゾヒズム……」みんなして自分に都合のいい適当な記憶を植え付けた結果です。「わたしは――タローのことが好きですっ!」という嵐子の告白も飛び出したりしつつ。嵐子の右拳で記憶を取り戻す太郎なのでした。

第三話、朝にお姉ちゃんと抱き合ったりしつつ。太郎が登校すると下駄箱に『放課後、開発部の部室に来てください』という手書きの手紙が入っていた。太郎を呼び出したのは柊ノアという天才少女。ノアは太郎に実験の手伝いをしてほしいという。ノアの実験計画とは太郎の変態力を使ってすべての人類を変態にする『人類変態化計画』だった。太郎はドM変態力で伝説のスーパード変態となり、ノアの計画を阻止する。

「だから、太郎ちゃん……一度だけでいいから、その人になりきって、わたしのことを『好き』って言ってほしいんだよ……」
「ええ!? それは……」
「お願い! お願いだよ! 一度だけでいいから!」
「しょうがねえな……」
 まあ、それで姉貴の悲しみが少しでも癒えるなら……
「姉貴、好きだ」
「お、おふう――ダ、ダメだよ! 姉貴じゃなくて静香って呼んでくれないと!」
「あ、そうだな。じゃあ……」
 俺は姉貴を強く抱きしめたまま、
「静香、好きだ」
「がはぅ! も、もももっと気持ちを込めて!」
「静香、好きだ!」
「もももももっとぉ――っ!」
「静香、大好きだ! 愛してる!」
「あ、あふぅ! ……も、もう、死んでもいいかも~」
 姉貴は俺の腕の中でくにゃあととろけた。
「もう一回……もう一回だけ……」
「す、好きだ、静香」
「た、たた、太郎ちゃん……わたしも大好き大好き愛してるよおおおお――――っっ!」
pp.169-170

好きなひとに振られたと謀って、太郎に慰めてほしいというお姉ちゃん。お姉ちゃんまじで最高だな。ここの部分がおもしろ過ぎて何回も読み直してしまいます。

p.196、太郎の変態値は三万。通常は五程度。

p.202、ノアがつくったベルト型装置で身体能力を強化する太郎。なんだこの展開、いきなりすごいことになったな。

「それは――俺が伝説のスーパード変態になったからです」p.213。なんぞ。美緒さまも引いとる。

話がいくらなんでも現実から逸脱し過ぎたよなあ。馬鹿が極まったとみるか、あらぬ方向に行ってしまったと考えるか、紙一重だな。

第四話、辰吉に思いを寄せる花片未依が、辰吉を温泉旅館に拉致し、それを阻止しようとマッサージが未依の巨乳をもみもみする話。

相変わらず馬鹿で笑える最高におもしろい話なんだけど、ノアの登場で少しだけ方向性が変わりそうな気がする第五巻でした。