『断章のグリムI 灰かぶり』

「神の悪夢」によって生み出された、童話や昔話に似たエピソードをモチーフに展開する事件を、主人公とヒロインが解決していく話。

登場人物たちも、自身が「神の悪夢」によって心理的外傷をおっていて、それによって「断章」と呼ばれる特殊な力が使えるようになります。

 耳から蜘蛛に似た小さな赤い蟲が数も分からないほど這い出して、颯姫の首筋と肩と腕とテーブルを、瞬く間に真っ赤に蠢くおぞましい色彩で覆い尽くした。

耳から赤い虫。

 皮は指のささくれを深く剥いてしまったように、まだ無事な脚の皮膚をもぎ取って、ぶつんと嫌な音を立てて千切れた。

自分の足を引き千切る少女。

なんともいえない無気力感がおそってくるのがこの作品の魅力です。