おおかみこどもの雨と雪

「この子に幸せになってほしい」と心から願える良いヒロインでした。努力をおこたらず、諦めず、へこたれないで弱音をはかないで、ずっと笑顔を忘れない。

夏の高い空に入道雲の絵がすごく好き。草平を傷つけて涙を流す雪が『時をかける少女』の真琴を彷彿とさせる。

映画「おおかみこどもの雨と雪」

あらすじ

物語はヒロインの娘、雪の語り口調で始まる。

大学生の花(宮崎あおい)は、よれたTシャツで教科書も持たずに授業を受ける男に出会う。彼は、自分は大学生ではないと話す。花は、少し変わっているがまじめな彼に惹かれていく。ある冬の夜、星空のきれいな場所で、男は自分の秘密を話す。男は狼男だった。彼を肯定した花は、二人で暮らすようになり、やがて女の子、雪(大野百花)が産まれる。雪の日に産まれたから雪。翌年、男の子の雨を出産する。幸せに見えた生活だったが、男は姿を消してしまう。雨の日に、幼い雪と雨を背負った花は、川で亡き骸となった狼を見つける。悲しみで途方にくれる花だったが、雪と雨を自分が責任を持って育てると誓う。

狼男とのハーフの子どもを育てるのに四苦八苦しつつ、日々は過ぎていく。狼であることを隠して都会で育てていくことに限界を感じた花は、二人を連れて富山の山奥の田舎へと引っ越しを決める。

五歳の雪は元気いっぱいにやんちゃに育ち、四歳の雨はおとなしく静かに育つ。突然田舎へ越してきた若い花たちをいぶかしんでいた近所の住人たちとの交流も、花の社交性とがんばりのおかげで良い方向へ進んでいく。自給自足のための畑づくりはなかなかうまくいかなかったが、年寄りの韮崎(菅原文太)に指導してもらい、花の努力で豊かにみのる。花は狼の育て方の勉強をして、二人に狩りを教える。冬には三人で雪原の山を走り回り大笑いする。雨は川にいた鳥を捕まえようとして、つまづいて川に落ちておぼれてしまい、雪に助けられる。

小学校へ通うようになった雪は、周りの女の子の影響からおしとやかになろうと決める。雪は、転校生の草平に「けものくさい」と言われ、草平を傷つけてしまう。雨は小学校へはあまり行かず、山へ行くことが多くなった。

雪が六年生、雨が五年生になったある日。嵐を前に雨は山へ向かい、花は雨を追いかける。学校にいた雪は、草平に、自分は狼であの日草平を傷つけたのは自分だと告白する。山に入った花は足を滑らせて気を失ってしまう。花を連れて山をおりた雨は、狼になり、山へと駆け上がっていく。雪は人間として生きる選択をし、雨は狼として生きることに決めた。雪は一人暮らしを始め、花はいまも山奥の家で暮らしている。おわり。