女子モテな妹と受難な俺 夏緑 ガガガ文庫

女子モテな妹と受難な俺 (ガガガ文庫)

妹が超かわいかった。こんな妹がいたらいい。妹とこういう日常の何気ない会話をしてみたい、という願望がいっぱいつまった会話シーンだった。あらすじの「メチャクチャ世話を焼いて甘えてくる」「妹の甘えんぼさん攻撃は止まらない」ってのを読んで読む気になった。この本自体は知っていたんだけど、タイトルから、勝気で傲慢な妹が主人公のことを見下しているラノベなんだと勘違いしていた。「妹の甘えんぼさん攻撃」いい言葉だ。主人公は妹のことをやっかいなやつだと思っているだけみたいだけど、妹のせいで仏像に目覚め、必死に悟りをひらこうとしているあたり、妹のことを意識していると言わざるおえない。

で、妹はいいんだけど、問題は他のヒロインだろう。過激にやり過ぎた。主人公に粘菌を注射したり、監禁して風呂にしばりつけ溺死させられそうになったり。たまらない。ヒロインのせいで殺される、死を連想するシーンがいくつもあった。これで主人公はヒロインたちを許してしまうのだから、どうしようもない。怒り心頭だった。このラノベはとにかく妹がかわいい。一方で妹を蚊帳の外にして、妹と関係ないところで他のヒロインたちに殺されそうになる。

妹の部分だけは最高だった。

日向明日太の妹、日向今日子は兄のことが大好きで、「兄っち」と呼び甘えていた。妹の甘えんぼさん攻撃はとどまるところを知らない。風呂あがりにタオル一枚であらわれたり、ホラー映画が怖かったので一緒に眠ってほしいとか、腕を組んで学校へ登校したりする。ある日、明日太は告白される。ひとりは黒髪の大和撫子、御剣凛世。ひとりは粘菌を愛する変わり者少女、草野小麦。さらに多数の少女から立てつづけに告白される。明日太はいぶかしむ。小麦が今日子に人工呼吸の訓練を口実に、キスするところを盗み見る。小麦と凛世は今日子のことが好きで、邪魔者の明日太を排除するために明日太に告白したことを知る。危険を感じた明日太は逃げる。しかし車に連れ込まれ拉致され監禁され、なんとか逃げ出す。凛世は明日太が今日子に、凛世が今日子のことを好きだと言ってしまうのではないかと気が気ではなかった。それを知らない今日子は親友の凛世が学校を休んでいることを心配して元気がなくなっていた。明日太は凛世の家へ行き、凛世と話をしようとするが、凛世の不注意から雨で増水した川に落ちてしまう。助けに入った凛世も溺れるが、明日太はなんとか凛世を助ける。明日太の機転によって、今日子、凛世、小麦の四人で遊園地へ行き、今日子と凛世の仲直りが成功する。凛世が明日太のことを「兄貴」と呼ぶようになる。