ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜 三上延 メディアワークス文庫

なかなかおもしろい本だった。読書が好きなひとなら惹かれること間違いなし。本が好き過ぎるヒロインが、古書店をやっていて、実在する本にまつわるエピソードを交え本を紹介しつつ、それらの本に関わる事件を解決していく話。

この本の場合、実在する本が題材になっているところがおもしろい。作中で出てくる本を読みたくなってくるのがこの本のすごいところだと思う。多くの読書好きなひとは、栞子さんのように読書が好きで本に詳しく古書店をやっているようなひとと、この本のような出会いをしてみたいと思うだろう。現実には起こりえないだろう話だからこそ、あこがれる。

第一話。五浦大輔は実家に置いてあった『漱石全集・新書版』を査定してもらうために、北鎌倉にあるビブリア古書堂へ足を運び、入院中の店主、篠川栞子に会う。栞子は『漱石全集』の書き込みから大輔の祖母の秘密を紐解く。第二話。せどりの志田の『落ち穂拾ひ・聖アンデルセン』が盗まれる。盗んでいった女子高生は、自身のプレゼントを加工するために志田の本を使った。第三話。坂口という男が『論理学入門』を処分してほしいと頼みにきた。坂口の妻が現れ、その『論理学入門』を返してほしいと言う。栞子は坂口が服役していた過去と、現在失明しそうなことを推理する。第四話。栞子が入院した原因は太宰治『晩年』だという。『晩年』をほしがった客に階段から突き落とされたと話す。せどりの笠井が犯人であることをつき止め、笠井に襲われるが、『晩年』を燃やしてしまい、笠井を捕まえる。