『その日彼は死なずにすむか?』

その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)

その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)

第3回ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作。久しぶりにガガガの本を読んだ。最初は植田亮の絵に惹かれて。ヒロインたちが小学生というのも。主人公がやさしいからか。台詞や仕種がいちいちかわいい。じっくり丁寧に推敲したのかもしれない。この本を読めて良かった。

爆弾魔の爆弾で八戸綱一は死んだ。しかし突然現れた謎の生物マキエルはもう一度七年前からやり直し、奇跡の欠片を集めれば、死なずにすむという。小学四年生に戻った綱一は、ソフィア・美冴・ベルモンドに話しかける。クラスで浮いていたソフィアはクラスメイトの男の子に言い掛かりをつけられるが、綱一がそれをかばい仲良くなる。五年生、信丘とも美は幼稚園の頃に声をかけてきたこーいちくんに謝りたかった。掃除を一人させられていたとも美に綱一は声をかけ仲良くなる。隣の豪邸に済む幼なじみのお姉ちゃん矢口弥宵は、自分が必要とされていない、受験に失敗したことから自殺をしようとする。ソフィアは弥宵に嫉妬するが、四人は仲良くなる。そして運命のその日。奇跡の欠片を集められていないと思った綱一は風邪薬を買わずにペナルティーを選ぶ。しかし風邪薬はソフィアたちが買ってきてしまい爆発に巻き込まれる。希少なボンベイ型の血液型だった綱一に、とも美と弥宵が輸血する。クリスマス、綱一はソフィアに思いを告げる。

「……きみが再び〈ゲーム〉のプレイヤーに選ばれることはおそらく二度とない。もうなにがあってもリセットは利かないよ。だから……悔いの残らないように生きるんだよ」
p.327