『ツァラトゥストラへの階段2』

土橋真二郎、五冊目の本。

今回はチェスをモチーフに、男性プレイヤーをキング、女性プレイヤーをクイーンとして、キングが画面の盤上を眺めクイーンに指示を出し、領地を広げ出口を探すというゲームです。どこかのビルの中で、キングはひと部屋から出ることはできません。クイーンは部屋を自由に行き来出来るけれど、キングに資金を提供してもらわなくてはいけません。そんな話。

いつもながらにゲームの設定が緻密で、今回は今までのゲームの中でもよく出来たものだと思います。知能的な能力と肉体的な能力、キングとクイーンのどちらがイニシアチブを握っているか、駿介、飛鳥、カレン、知り合い同士の駆け引き、互いの心理的な揶揄など描写がうまいです。第一巻で、パルスの使い方や説明がどのように展開していくかと思ったけど、第二巻では全体的に話がつかめてきた気がします。

主人公が囚人ゲームを離れて唯一日常にいられる空間に由紀がいるから、由紀が出てくるとほっとする。

残念ながらというか、伏線の張り方として、出口の場所は早い段階で気がついてしまいました。

「…………土橋です。この二月で電撃文庫デビューしてちょうど一周年となります。一年経ったけど、未だにメディアワークスには新人いじめがあるんですよ」
「なによ、その態度は。私、休みなのにわざわざ極寒の競馬場まで来たのよ。読者の皆さん、メディアワークスに新人いじめなんてありませんからねっ」
メディアワークスとか燃えてしまえばいいと思ってます」

あとがき笑える。