『狂乱家族日記 壱さつめ』

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)

千年前に世界を災厄に陥れた『閻禍』は、千年後に自分の子供が「再び恐怖と絶望を撒き散らすだろう」と予言し滅びた。そして千年後の2063年、『閻禍の子供』と思われる六人(二人と二匹と一つのよくわからんもの)は、世界を滅ぼさないために『なごやか家族作戦』と呼ばれる狂乱家族生活を始めることになる。

第一巻は家族の出会いと、九歳の少女・優歌が姫宮(千子)に苦しんでいるのを救う話。

ギロチンマシン中村奈々子』を読んで気になっていた日日日の本。どうやらアニメ化も決まったようですね。

 そこには世界に絶望した一人の人間の独白が綴られていた。悲しみ、寂しさ、苦しさが刻みこまれた、ページを破れば血液を撒き散らしそうなほどにそれは生々しい文章だった。
p.185

優歌の苦しみを綴った日記を表現した文章。うまいなあ。

「おい小娘。貴様の前世はきっと塵虫で、来世は恐らく糞虫だ。それで現世が泣き虫だったら最悪の虫が三連続だろう。笑え。痛快に笑うがいい。笑えないか」
 そして戸惑う千子に――凶華は猫のように笑った。
「ならばもうじき笑わせてやる。大船に乗った気分で待つがいい」
 気高く、朗々と乱崎家の母は天に向かって吠えるのだ。
「――安心しろ。頼もしいことにこの凶華様は全知全能だぞ!」
p.242

凶華様、かっこよすぎる。