『姫宮さんの中の人2 夏盛りオレンジシャンプー』

季節は夏休み。中の人の対人恐怖症を克服するための訓練も進み、主人公の顔を三分間見られるまでになっていた。そんな頃、六月という中途半端な時期に転校してきた物静かで独特の雰囲気を持つクラスメイト・浦乃霞と挨拶を交わしたことをきっかけに、浦乃が所属するという図書委員を手伝うことになる。世間離れした浦乃の世話を焼くうちに、浦乃は主人公に好意を寄せていく。「純人が誰かと付き合うのは嫌なの! 禁止!」――そして新たに姫宮ちとせを狙う敵が現れる。

外の人と中の人の性格が違うというのは、一人のキャラクターで二度おいしいという面もあるけど、外の人補正がかかった姫宮さんは少し微妙だと思ってしまいました。ただ今巻の外の人は、主人公のことが好きなんだけど素直になれないという気持ちがあるので、なかなか好感が持てます。威風堂々としていて加虐的な姫宮さん(外)と電波な対人恐怖症でおどおど小動物的な姫宮さん(中)のギャップがいいのかもしれません。

第二巻であらためて思ったけど、柔らかい線の挿絵も魅力的。主人公に抱きついて首に手を回した姫宮さん(中)を乗せた絵も好きです。

主人公の妹・雪初登場。

「どうしたのお兄ちゃん。その溜息」

 雪はわざとらしくやれやれと首を振り、額を押さえた。
「せっかくセカイがお兄ちゃんに追いついたのに、お兄ちゃんはついていけてないよ」
「ますますよく意味が分からない」
「ほら、昔からいうでしょう、女心と秋の風」
「はあ」
「つまり! お兄ちゃんは女心が分からないってこと」
 雪はビシッてオレを指さす。