『姫宮さんの中の人』

姫宮さんの中の人 (MF文庫J)

姫宮さんの中の人 (MF文庫J)

え、姫宮さん、今なんか、カラダ、フタ開きました? 「『中の人』など、いない!」「……ってぇぇぇ!」

このシーンのインパクトだけで、この作品は成功だと思います。

星野純人は平凡な高校生活に少し退屈さを感じていた。入学式のとき、壇上に上がった生徒会長・姫宮ちとせは女神のごとく神々しく輝いて見えたが、自分とは住む世界が違うと考えていた。そんな六月の放課後、純人の横を通り過ぎた姫宮さんはハンカチを落としてしまう。これはチャンスでは? ということで生徒会室を訪れた純人だったが、そこに居たのは姫宮さんの中の人だった……。

中の人は外見ロリです。そして極度の対人恐怖症です。そのために「外の人」のスーツを着て生活をしています。で、主人公は、ちとせのその体質を改善するために尽力するという話です。

こういう中の人ネタの作品だと、たいてい中の人に心を奪われて、という展開になりがちですが、主人公は中の人を否定するという一味違った観点で話が進みます。これが月並みじゃなくておもしろいです。

何故ちとせは「外の人スーツ」を着て生活しなくてはいけないのか、ちなつの思惑とは、幼なじみの結衣の気持ちは、といった含みを残して次巻につづく。