『神様家族4 シャボン玉ホリデー』

短編集的な作品。なんか読んでてほっとするわ。

今まででの巻の中で一番笑いました。ママさんが一日署長になり佐間太郎と進一をミニパトで轢き、久美子がのぼせて佐間太郎の耳元にモッサリとしたものを出し、美佐にそそのかされた愛が侍になるという話。

一方で一番シリアスな話でもありました。第三巻ではシリアスになりきらない展開でしたが、今巻はちょっと真面目です。

全体としてメメの話です。巨大な謎の種を拾ったメメ。メメ誕生のきっかけになる少し無口で少し不運で少し不幸な少女。そして、少し臆病で気持ちを伝えられず心を閉ざす草薙くん。そんな話です。

「世の中にはね、辛いことがたくさんあるんだ。そうすると怖い顔になってしまうんだよ。つまんなそうな顔をしている人は、それはつまらないんじゃないんだ。なんてことないよ、って顔を作ってるんだ。だから世の中はね、なんてことない顔をしている人で溢れてるんだよ。怖い顔をしている人はね、なんてことのない人が羨ましくなるんだ。自分が悲しい、辛い、苦しい、そう思う時はね、他の人のことが憎く感じてしまうものなんだよ」
 だけど。
「だけど本当はそうじゃない。誰だってとても辛い思いや悲しい経験をしてるんだ。なんてことない顔をしている人だって、どんな顔をしている人だって、それこそ、誰一人残らずね。それでもなんとか生きてるんだ。人間は、それでも生き続けようと考える生き物なんだ」
「でも、人間は生きていたら楽しいことよりも悲しいことの方が多いのに。それでも生きてるの?」
「そうだよ。悲しいことは無駄なことじゃない。辛いことだって、必要なんだ。そうすることで、他人の痛みをわかってあげられる人間になる。優しい人間になれるんだ」
「そっか……」